筋トレやボディメイクは男性にも女性にも人気があります。筋トレ好きを公言する芸能人も多く、ボディビル(Body Building)の大会に芸能人が出場したというニュースをSNS等で観る機会も多いですね。
しかし、ボディビルディングの大会には複数の分野と複数の団体があります。そしてそれぞれに大きな特徴の違いがあります。もっとも重要な点は、ボディビル大会を主催する団体のドーピングに対する姿勢です。筋肉増強剤などの使用をほぼ容認している団体もあります。
ボディビルコンテストの分野(カテゴリ)について。
まず最初に、各団体に共通するカテゴリを説明します。名称は少し違ってもカテゴリ分けはほぼ一緒です。
- ボディビル:筋肉の大きさをメインとしつつ、全体のバランスの美しさを競います。
- フィジーク:2012年頃よりスタートしたジャンル。大きすぎる筋肉ではなく、全体的な筋肉のバランスと均一な全身のバランスを重視する。脂肪が少なく、見た目の美しさを重視。日本人男性に最も人気のカテゴリであり、男性の筋トレ系Youtuberの多くはフィジークの出場者です。ボディビルほどではなくても、男女ともにかなりムキムキでマッチョ、筋肉で大きく鍛えた身体が要求されます。
- フィットネス:身体の美しさ、バランス、健康的な外見を重視。ステージパフォーマンスも重要。日本人女性のボディビル大会出場や入賞のニュースの多くは、このフィットネスのコンテストが多いです。筋肉質だが痩せておりボディラインにメリハリがある出場者が多い分野です。いわゆる美尻などもこのカテゴリです。
主要ボディビル団体と有名な出場者
IFBB Professional League (IFBBプロリーグ)とFWJ(Fitness World Japan)
IFBBプロリーグは、日本語では「国際ボディビルダーズ連盟」とも呼ばれます。1946年設立の最も歴史が古く、もっとも有名なボディビル団体であり、知名度も群を抜いています。世界最大のボディビルコンテスト「ミスターオリンピア」「ミスオリンピア」を主催している団体です。
FWJはそのIFBBプロリーグの傘下の日本の団体です。2014年にNPCJの名で発足し、IFBBプロリーグの傘下となり名前をFWJとしました。IFBBプロリーグに日本で唯一所属する団体であり、日本でIFBBプロのショーを主催できる団体です。日本で最も人気のあるボディビル団体であり、知名度も賞金額も日本一です。カーリング日本代表選手でオリンピック銅メダリストの藤沢五月選手が出場した大会もFWJです。
著名な選手:主にフィジークとビキニフィットネス
- アーノルド・シュワルツネッガー
- カネキン(金子駿) IFBBプロ選手
- ぷろたん フィジークに出場
- エドワード加藤 IFBBプロ選手
- JIN(小池友仁) IFBBプロ選手
- マッスルグリル シャイニー薊 フィジーク出場
- 藤沢五月 ビキニに出場
- サリアーン加藤 IFBBプロ(プロビキニアスリート)
- MIHARU(倉地美春) IFBBプロ(プロビキニアスリート)
- 安井友梨 2023年 IFBB世界フィットネス&ボディビル選手権 172センチ以下級にて優勝
- 山岸秀匡 元IFBBプロボディビルダー
IFBB エリートプロとJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)
IFBBエリートプロとIFBBプロリーグはもともとは一つの連盟(IBFF)でした。しかし、2017年に方針の相違から分裂しました。IFBBプロリーグがショーとしてのボディビルの方向性を維持するのに対し、IFBBエリートプロはボディビルのオリンピック正式競技化を目指しています。そのため主催するボディビルコンテストにおいてドーピング検査を実施しています。一方、先述のIFBBプロリーグはドーピング検査を行っていません。
JBBFは1955年に日本ボディビル協会として設立された日本の団体です。1982年にJBBFと名称を改め、1982年にJBBFとなり、IFBB(国際ボディビル連盟)に正式加盟。現在はIFBB エリートプロの傘下にあります。主催するボディビルコンテストにおいてドーピング検査を実施しています。
著名な選手
- マッスル北村 日本で最も有名なボディビル選手(故人)
- 横川尚隆(タレント&Youtuber)2019年日本ボディビル選手権優勝 IFBBエリートプロ
- 山田朝美 IFBBエリートプロ ボディフィットネス
- 鈴木雅 2019年日本ボディビル選手権9連覇
- 久野圭一 フィジーク選手
- 澤田めぐみ 女子フィジーク
- 安井友梨 ビキニフィットネス JBBFオールジャパンフィットネスチャンピオンシップス八連覇
- 長瀬陽子 ビキニフィットネス
- なかやまきんに君 東京オープンボディビル選手権2016出場
- オードリー春日 東京オープンボディビル選手権2016出場
BEST BODY JAPAN
日本のボディメイキングの流行が始まった頃の、2012年よりスタートした日本のボディビル団体。IFBB系の大会よりはかなり筋肉量が劣る。健康的な肉体がコンセプトの瘦せ型で筋肉質な体を競う。芸能人・タレントの参加者が多い。
著名な出場者(芸能人)
- 西川貴教
- 金子賢
- レイザーラモンHG
- キンタロー
その他:APF、MUSCLE GATE、SUMMER STYLE AWARD
その他にも日本のボディビル大会を開催している団体があります。
APFは初心者向けのボディビル大会です。FWJとつながりのある団体です。
SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)は金子賢がコンテストの審査を行っている大会です。JBBFと協力しており、アンチドーピングの大会です。
MUSCLE GATE(マッスルゲート)はゴールドジム主催の新しいコンテスト大会です。日本のゴールドジムは古くからJBBFと協力してきました。そのため、アンチドーピングの大会です。
世界アンチドーピング機構(WADA)とボディビルにおけるドーピングの問題
世界的な大きなボディビル団体は2つあります。先述のIFBBプロリーグとIFBBエリートプロです。日本国内の主要団体2つ(FWJとJBBF)もこの2団体の傘下にあります。この2団体はドーピングに対する姿勢が違います。
- IFBB Professional League (IFBBプロリーグ):ドーピング検査無し
- IFBBエリートプロ:ドーピング検査有
IFBBプロリーグが世界最大のボディビル競技連盟です。この団体はドーピング検査を実施していません。連盟としてはドーピングを容認しない姿勢です。しかし、ドーピング検査をしていないため実質的に筋肉増強剤やアナボリックステロイド、また痩せ薬など、ドーピング使用が可能な状態となっています。傘下にある日本の団体FWJも同様であり、ドーピング検査を実施していません。
2022年9月、世界アンチドーピング機構(WADA)はIFBBが世界アンチドーピング規定を遵守していないという理由により、WADAの特権を失効したことを発表しました。
IFBBエリートプロはドーピング検査を実施しています。IFBBエリートプロはボディビルのオリンピック正式競技化を目指しており、ボディビルコンテストにおいてドーピング検査を実施しています。
IFBBの傘下団体である日本のJBBFは日本アンチドーピング機構(JADA)と関係を継続しており、競技会での検査を継続して行っています。
IFBBプロリーグとFWJのドーピング問題
IFBBプロリーグおよび日本の団体FWJに参加している選手の全員がドーピングをしているわけではありません。ドーピング無しのナチュラルで参加している選手も多くいます。しかし、ドーピング検査が無く、ドーピングして参加できる以上、疑惑を持たれてしまいます。
この問題について、自身はドーピングに反対であり、ナチュラルを公言しているIFBBプロ選手のMIHARU(倉地美春)選手はインタビューにて、疑われたくなければJBBFに出ればよく、FWJに出場する時点で疑われてしまうのはしょうがない、と述べています。MIHARU選手はドーピングはすべきではないという立場です。
また、安井友梨はIFBB世界選手権で優勝した選手ですが、それまではアンチドーピングに準じているJBBFを主戦場としてきた選手です。安井選手もナチュラルを公言し、ドーピングには反対しています。また、豊乳手術もしていないと公言しています。ボディビルのビキニは生地が分厚く胸が大きく見えるビキニなのだそうです。
ドーピングに批判的な選手でもIFBBやFWJに参加する選手が多いのは、世界的な知名度、大会の規模がIFBBとFWJの方が大きいからです。それだけの魅力があります。
ドーピング検査を実施しているJBBFでは、前回入賞した著名な選手がドーピング検査陽性となり3年間の出場停止処分になることもしばしばあります。しかし、JBBFの選手にもまだドーピングしている選手がおり、見逃されているという批判もあります。
副作用などリスクを考えて自己責任でボディメイク
ボディビルをスポーツではなく、美しい身体を作るボディメイクとして考える場合、筋肉増強剤や痩せ薬なども自己責任という考え方もできます。しかし、副作用のリスクは忘れてはいけません。
ドーピングはせずに、食事やダイエット、サポートサプリだけの健康的なボディメイクしたい人は、筋トレ系Youtuberの動画を参考にする場合には、Youtuberが参加した出場大会や団体にも注目してみましょう。
インターネット通販にて、筋肉増強剤や痩せ薬を購入することが出来ます。よく注意事項を読む必要があります。使用した場合は、JBBFの大会や、スポーツ競技に参加することは出来ません。自己責任にて検討する必要があります。下記のサイト、オオサカ堂ではアナボリックステロイドやテストステロンを増大させる経口剤がインターネットで購入することが出来ます。また、副作用リスクを下げる目的のケア剤もあります。
JBBFに出場する選手にはナチュラルであることに誇りを持っている選手が多いようです。しかし、それでも大会にてドーピング陽性の選手が出てしまいます。また、JBBFで著名になった選手が、さらなる知名度の上昇を目指し、ナチュラルを守りながらもFWJに鞍替えし、IFBBプロカード取得を目指す場合もあります。
どの大会に出るか、どのような補助サプリメントを使ってボディメイキングするかは自己責任です。よく考えて、効率よく楽しく美しい身体づくりを行っていきましょう。